2023/02/01
「マンションはいったい何年もつのか?」
「マンションはいったい何年もつのか?」
よく聞かれる質問です。
①鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数の基準
②鉄筋コンクリートの劣化の仕組み
③日本建築学会による基準
④まとめ・何が重要か?
①鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数の基準
色々な見方がありますね
例えば・・税務上の法定耐用年数。
鉄筋コンクリート造のマンションは47年と言われています。
しかしこれは、固定資産の減価償却を算出するために税法で定めた
年数で物理的な耐用年数ではありません。
物理的にマンションを支えている鉄筋コンクリートが何年もつか?
この鉄筋コンクリートの劣化の仕組みが
マンションの寿命と大きく関わっていると言えます。
②鉄筋コンクリートの劣化の仕組み
コンクリートの主成分=セメント・砂・水
これは鉄筋が錆びにくい高アルカリ性です。
=鉄筋の強度が保たれる、というわけです。
しかしそんなコンクリートも空気中の二酸化炭素に反応し
アルカリ性が失われていきます。
これを「コンクリートの中性化」といい、表面から徐々に
浸食していくのです
《鉄筋コンクリート劣化の負のスパイラル》
1.コンクリートの中性化で内部の鉄筋が錆び始める
2.錆び始めた鉄筋が膨張
3.鉄筋が膨張してコンクリートにヒビが入る
4.ヒビから雨水が侵入、さらに鉄筋が錆びていく
このサイクルでコンクリートの劣化が始まるのです
③日本建築学会による基準
ただすぐに劣化するのではなく、長い年月を経て劣化していきます。
ここで日本建築学会で定められたコンクリートが大幅に劣化しない期間
「計画供用期間の級」というものが登場します。
いわゆる耐用年数のことです。
これをご覧ください。
(日本建築学会による)
見方を説明します。
「計画供用期間の級」
➔一言でいうとコンクリートのグレードです
現在は標準以上のものが採用されていますが、
昭和30~50年代には短期の鉄筋コンクリートの
マンションが建築されていました。
「大規模改修不要予定期間」
➔軽微な補修のみで、鉄筋の腐食・コンクリートの重大劣化が
生じない予定の期間です
「供用限界期間」
➔大規模補修すれば継続使用できると予想される期間
つまり!
鉄筋コンクリート造のマンションは適切な
改修メンテナンスをすれば・・
約65年から100年は使用できると理論上なります
〈新しいマンションは・・〉
さらに近年に建築されたマンションでは、設計基準強度の級が「長期」で建築
されている場合もあります。
100年コンクリートや100年マンションなどと記載されていれば、
設計基準強度「長期」と判断する事が出来ます。
〈築古マンションは・・〉
それに対し、昭和30年代~昭和50年代(旧耐震基準)に
建築されたマンション、築古マンションですね。
設計基準強度の級が「短期」相当で建築されている場合も
多くあるのです。
では、コンクリートの設計基準強度の級が「長期」か「短期」で
あるか?どうやって見分けるのでしょうか?
設計図書や施工記録を取り寄せて確認できれば良いのですが、
古い物件の場合、残っていないことも多いのです。
設計基準強度が「短期」か「標準」かについては、マンションの
高経年化が進むほど判別が難しいのが実状といえるでしょう。
④まとめ
軽微な補修も大規模な改修工事もマンション全体の
長期修繕計画に落とし込み、
しっかり実行できるマンションの管理組合かどうかが重要です!
マンションの修繕計画がなかったり、全体の修繕積立金が
少額しか貯まっていないようでは適切なメンテナンスは出来ません。
中古マンションをご検討するときは
まず管理組合の財政状況を確認してから!ということです。
まさに「知らずに買うな!」ですね